M3中戦車は、第二次世界大戦期に設計・運用されたアメリカ製戦車である。同モデルはアメリカの同盟国であったイギリス陸軍にも導入された。イギリス軍では、タレットがアメリカ陸軍仕様のものを南北戦争の南軍の将軍ロバート・Ｅ・リーにちなんで「リー」と、イギリス軍仕様のタレットが装備されたものを北軍の将軍ユリシーズ・Ｅ・グラントにちなんで「グラント」と呼称した。このうち「リー」というニックネームが広く知られるようになり、現在でもM3中戦車を「リー」と呼ぶ者は多い。
1940年に設計されたM3中戦車は1941年後半に実戦投入された。火力面で優れたスペックを誇った同モデルであるが欠点も多く、後継機であるM4中戦車「シャーマン」の量産体制が整った後は多くが前線から姿を消していった。1943年の北アフリカ戦線終結にともなって欧州方面に投入されることがなくなった一方で、東南アジアにおける日本軍との戦闘においては1944年まで運用されていた事が知られている。
同戦車は第二次世界大戦を舞台とした多数の作品に登場するほか、日本のアニメ『ガールズ＆パンツァー』では、ピンク色に塗装された個体が登場している